丸山ワクチン療法
当クリニックでは、
コロナ特例として丸山ワクチンを本人に代わって日本医科大学付属病院ワクチン療法研究施設へ代理申請しています。
丸山ワクチン使用経験については👉こちら
ア)結核菌の歴史
イ)結核菌と癌
ウ)丸山ワクチンの由来
エ)比較試験の問題点
オ)丸山ワクチンの効果と副作用
カ)丸山ワクチンの手続
ク)丸山ワクチンの実績報告
ア)結核菌の歴史
結核菌ワクチンはドイツの細菌学者ロベルトコッホが作ったツベルクリンが最初です。このツベルクリンワクチンは副作用が強すぎて治療には用いられず、結核診断用のツベルクリン反応薬として長く使われてきました。丸山は副作用の少ないワクチンの研究を続け1944年丸山ワクチンを完成しました。
結核菌と人間とのあいだには興味深い関係があり結核菌は人にしか感染しないのです。
歴史的に結核菌の存在を確認したのは米国の女性進化遺伝学者Anne Stoneです。彼女は1000年前のペルーのミイラから結核菌を採取しました。ゲノム研究や年代測定を行い結核菌が出現したのは約1200~2400年前と推定したのです。一方、フランスの進化遺伝学者Thierry Wirthは結核菌のなかで最も人に脅威とされている北京株は6000年以上前に東アジアに出現したとしています。二人の学者の結核菌の出現年代には大きな差はありますが人が集落を作るようになった時期と場所への関係では一致します。現代社会は集落社会というよりも密集社会ですから結核にとってはとても住みやすい環境です。
イ)結核菌と癌:
人間とのつながりのなかにある発見がありました。その発見とは結核菌に感染している患者にはがんの発症が無いことでした。また、過去に結核を患った人にもがんの発症が少ないこともわかってきたのです。この点に注目した丸山博士はがん患者へ丸山ワクチンの投与を思いついたのです。実際丸山ワクチンを投与しがん患者の生存期間が伸びることがわかってきました。丸山千里による臨床試験では末期がん患者で抗がん剤のみの治療での1年生存率は1.5%、2年生存率は0%だったのに対し、丸山ワクチンを併用した方は1年生存率28.1%、2年生存率は9.4%と差が出たとしています。東北大学の比較臨床試験ではがんを小さくする抗がん作用は否定されましたが、やはり延命効果を認めるものでした。過熱するメディア報道や患者の会からの要望など紆余曲折を経て国会で追及された厚生省と調査会は丸山ワクチンを『有償治験薬』という名目で、、許可はしないが使用は認めるという決定を下し今日に至っています。私の個人的な見解は最先端医療である数々の免疫療法の効果について個人差が著しくその有効性についての大規模試験がないと同じように、丸山ワクチンによる免疫療法についても個人差があり、反応する人と反応しない人、やや反応する人など最新の免疫療法と同じ個人差があると思います。いかなる治療もためしてガッテン運だめしだと思うのです。結核菌と私は深い関係にあります。私はもつか膀胱がんの治療に結核菌を弱毒化した東京株を複数回にわたり直接膀胱に注入するBCG療法の治療中なのです。
<参考 私の闘病記より>
2019年11月7日 ライ病レプラの人にはがんはない。結核の人にもがんは極めて少ない。
2013年8月ステージ4の末期がんの宣告を受けた頃、まさか80歳まで生きるとは思っていなかった。それが今日81歳の誕生日、人の命は不思議だと思う。昨日から紅葉を見に大山に行ってきた。登山道に咲く野生のりんどうの美しいこと。古来健康はまず足からと言われているが6年ぶりに手足4本の血圧を測る血圧脈波検査と足の骨密度を測ってみた。骨密度は同年齢の150%、動脈硬化度は同年齢の平均値以下だった。Lamm法をよく読んでみると彼は弱毒化したBCGの膀注と皮下注の併用を勧めている。免疫の強力な賦活作用を持つ結核菌膀注療法は膀胱がんに対する有効率60~80%だから世界最強の抗がん剤と言っても過言ではないだろう。膵臓がんにしても肺がんにしても弱毒化した生の結核菌膀注療法と丸山ワクチン併用を試してみる価値はあるように思う。
九州大学と琉球大学は結核菌が免疫応答を活性化することを発見した。マクロファージを活性化させ、次いでT細胞を活性化させがんに効果があると言っている。2016年11月米国科学誌Immunity電子版に公開している。
ウ)丸山ワクチンの由来:
皮膚科医だった丸山千里博士は皮膚結核の治療のために結核ワクチンの研究をしていました。結核療養所、ハンセン病療養所には癌患者はほとんどいないことに気付き、結核菌やライ菌に癌を抑える成分があると考え丸山ワクチンが開発されました。結核菌を煎じて無害としたものが丸山ワクチンです。
エ)比較試験の問題点:
丸山ワクチンはがんワクチン療法なので他の薬剤と同様厚生労働省の基準に基づいたプラセボ偽薬との効能比較試験が必要です。丸山ワクチンは治験の段階でメディアに乗っかり有名になっていたため、例外的にプラセボ偽薬の代わりにB液(1アンプル0.2μℊ液)を用い、本物薬はA液の代わりにA液の20倍濃い1アンプル当たり40μℊ液を使用しています。結果は、2006年に論文発表されています。図に示すグラフのように、生存率の成績は高用量群のほうが悪かったのです。すなわち、高用量の丸山ワクチンはお薬としての効果よりも毒性が勝っていたわけです。問題はなぜA液の20倍の高濃度液を使ったのか、その意図は不明のままです。この論文報告以降、低用量B液のみを使用する人が増えたと聞いています。
オ)丸山ワクチンの効果と副作用:
丸山ワクチンは癌細胞を殺すナチュラルキラー細胞(NK細胞)を活性化し、免疫の働きを調整することによって癌の増殖、浸潤、転移を抑える効果が報告されています。要するに、あくまで免疫を高める治療法なので癌の種類に関係なく使用できます。他の治療との併用も問題ありません。副作用は結核菌そのものではなく加熱処理した抽出液なので大きな副作用は見られません。
カ)丸山ワクチンの手続:
本来なら患者本人または家族が日本医科大学付属病院ワクチン療法研究施設に承諾書と治験登録書を提出し、諸々の手続きを行う必要があります。当院で本人より病状をお聞きし必要書類を作成します。現在はコロナ禍特例として代理申請を行っています。
キ)丸山ワクチンの費用:
丸山ワクチンは臨床試験ですから費用が発生します。一日おきに皮下注射する40日分(20アンプル)が1単位治療となり、日本医科大学に支払う11,000円(薬剤費9,000円+諸費用1,000円+消費税)と、これに当院での治験登録書作成費用、承諾書作成費用11,000円がかかります。初回費用は22,000円となります。
ク)丸山ワクチンの実績報告:
丸山ワクチン継続を希望する方は40日おきに丸山ワクチン経過書を作成し日本医科大学付属病院ワクチン療法研究施設に報告する必要があります。大田医師がこの手続きを代行します。手続き費用は5,000円、これに40日分のワクチン費用11,000円(薬剤費9,000円+諸費用1,000円+消費税:直接日本医科大学あてに振り込んで頂きます。)、計16,000円が必要となります。これを40日ごとに繰り返します。患者本人ご家族とも東京に行っていただく必要はありません。
初回ワクチン到着後、外来処置室で皮下注射の手順について具体的にわかりやすく説明します。わからないことはご相談ください。