原因不明、神経検査、画像検査で異常を認めないシビレ・ピリピリ痛を脳過敏症(アロディニア異痛症)と定義しています。ドパミン神経疲弊説と脳脊髄グリア細胞炎症説の2説が有力です。アロディニア異痛症は国際疾病分類ICDには記載はなく、アメリカ精神医学会のDSMに取り上げられ、一時期は身体表現性障害と呼ばれていました。最近国際疼痛学会は慢性痛の分類として、一次性慢性痛なる新項目を追加しました。
青:シビレ 赤:ピリピリ痛
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37歳 女性 主訴:左後頭部の痛みと左顔面の痛み
38歳 女性 主訴:体のシビレ、頭痛
61歳 女性 主訴:左陰部鼠蹊部から両足のシビレ痛
29歳 男性 主訴:体が痛い
59歳 女性 主訴:左腕のシビレ
64歳 女性 主訴:右手のシビレ、頭痛
54歳 女性 主訴:左手のシビレ
80歳 男性 主訴:顔面の痛み
52歳 女性 主訴:右頚部から手先にかけての痛み、感覚がない
69歳 女性 主訴:首こり、肩こり
28歳 男性 主訴:くらっとする
45歳 女性 主訴:フワフワしためまい、手のシビレ
72歳 女性 主訴:右首から肩、腕の痛み
15歳 女性 主訴:頭痛
39歳 女性 主訴:手足のシビレ、背中・肩・腕のヒリヒリ感
38歳 女性 主訴:体のシビレ、頭痛
61歳 女性 主訴:左陰部鼠蹊部から両足のシビレ痛み
58歳 女性 主訴:足のシビレ
68歳 女性 主訴:不眠、めまい、足のシビレ
44歳 女性 主訴:足のシビレ
60歳 男性 主訴:右足指のシビレ
76歳 男性 主訴:足裏、尿道の痛み
49歳 男性 主訴:両足のシビレ
29歳 男性 主訴:体が痛い
54歳 女性 主訴:身体、右足の痛み、両手のシビレ、歩きにくい
86歳 男性 主訴:耳鳴り、膝・肩甲骨・胸・腰の痛み、右手足のシビレ
53歳 男性 主訴:右足のシビレ・痛み
56歳 女性 主訴:頭痛、肩こり
64歳 女性 主訴:全身の痛み
37歳 女性 主訴:右顔面、右腕右足のシビレ
76歳 男性 主訴:肩、腰の痛み
32歳 男性 主訴:両手足、足裏のシビレ
シビレ・ピリピリ痛は脳の疲れから脳過敏症が作り出した症状です。脳の疲れの原因は蓄積したストレスです。ストレスはシビレ・ピリピリ痛として皮膚に症状を現わします。アロディニアはストレスの吹き出物とも言えます。
シビレ・ピリピリ痛は日常生活で気になる不快痛まで様々です。ピリピリ痛が足裏にくると歩行に支障を来たします。動物にとって痛みは闘争・遁走に不便です。動物は闘争・遁走中に痛みを感じにくくする痛み抑制系神経を活発にしています。人も無我夢中のときは痛みを忘れています。手足など末梢から上がってくる痛み信号を脳が感じにくくする下降性痛覚抑制系というシステムが作動しているからです。ところが脳過敏症の人は、軽い刺激、例えば髪に触っただけでも頭が痛い、被服が触れるだけでも体が痛いと感じます。
・ 性格ストレス:
真面目、几帳面、完璧主義、こだわりなど
・ 睡眠ストレス:
遅寝、不規則睡眠、短時間睡眠など
・ 運動不足ストレス
・ 環境ストレス
◆ 薬物療法
アミトリプチリンはアロディニアに有効か、、、?
ノリトリプチリンはアロディニアに有効か、、、?
セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害剤デュロキセチンはアロディニアに有効か、、、?
バルプロ酸、カルバマゼピンはアロディニアに有効か、、、?
非定型抗精神病薬リスペリドン、アリピプラゾールはアロディニアに有効か、、、?
プロプラノロールはアロディニアに有効か、、、?
NMDA受容体拮抗薬はアロディニアに有効か、、、?
オピオイド系トラマドール、ブプレノルフィン貼付剤はアロディニアに有効か、、、?
ドパミン作動性パーキンソン病治療薬はアロディニアに有効か、、、?
プレドニン、抗TNFα薬はアロディニアに有効か、、、?
交感神経ブロックはアロディニアに有効か、、、?
パルス高周波法による神経ブロックはアロディニアに有効か、、、?
脊髄刺激療法SCSはアロディニアに有効か、、、?
◆ 運動療法
自発的な運動が効果的です。気分と体力にあった運動処方が大切です。
運動は脳のドーパミン報酬系を活性化するため、ランナーズハイという言葉があるように運動は快感を呼びます。俗に、走るのは楽しくて癖になるといわれる理由です。このドーパミン報酬系の活性化が慢性痛を治す効果のあることが分かってきました。運動により中脳腹側被蓋野VTAのドーパミンニューロンが賦活され、側坐核に至るドーパミン報酬系を活性化し、前頭前野を元気にします。オススメは一日30分~60分のウォーキングです。ただし、歩きすぎては逆効果です。
◆ 睡眠療法
意識覚醒レベルの調整がうまく出来なくなると抑うつや不眠がやってきます。この抑うつや不眠は早い段階で正しい治療を受けて下さい。単なる睡眠導入剤ではなく脳内ホルモンのバランスを調整する作用を持ったお薬がベストです。入眠時刻は成長ホルモン、メラトニンホルモンの分泌される夜10時就寝がベストです。補助剤としてメラトニン1~5mg就寝前内服はお勧めです。
◆ 認知行動療法
考え方をマイナス思考からプラス思考へ、性格は変えれないといわれますがそんなことありません。完璧性格、こだわり性格と闘って勝てば性格は変えれます。いずれにしても、認知行動療法はお勧めです。
認知行動療法のなかで一番のお勧めは呼吸法です。
幼児は吸気にポイントを置いた呼吸リズムですが、成長するに従い、呼気にポイントが移ってきます。fMRIの研究により、吐く呼吸である呼息運動に意識を集中した瞑想者はDMN領域(デフォルトモードネットワーク)の活性化が低いという結果が得られました。これは何を意味するかと言えば、DMNは最近存在の分かった宇宙のダークマターのように脳科学では未知の分野でした。人が何もしていないぼんやりとしたときの脳活動を調べる研究は予想外な結果に至りました。このぼんやりとしているアイドリング状態の脳をfMRIで調べると、多くの分野が活性化していることが分かりました。久賀谷亮によると、このDMN領域が脳全体の60%以上のエネルギーを消費しているという報告もあります。一日数万回も浮かんでは消える自動思考は、このDMNが作り出しているのかもしれません。吐く呼吸に意識を集中した呼吸法はこのDMNを鎮静化させ、脳の疲れを回復させる作用があるようです。
治療効果
治療の効果を見ると、物事に集中しているときはなんともないシビレ・ピリピリは比較的治りやすい。
常時あるシビレ・ピリピリ痛は治療抵抗性で治りにくい。特に、足うら、性器の痛覚過敏は治療に難渋します。
アロディニアの部位は脊髄神経支配領域を示すデルマトーム(皮膚分節)を用いました。シビレは青色、ピリピリ・ピリピリ痛は赤色で表示してあります。専門医が見ればわかるのですが、シビレ・ピリピリの範囲は神経の支配領域と無関係に現れています。このことは医学的には説明しにくい現象なのです。