入眠時に足が火照る、足がムズムズ、イライラ、チクチク、ピリピリするなど不快な症状のため快適な睡眠がとれず生活に支障を来すことが多いです。軽症の場合は薬を使わずに改善できることもあります。多くの方は薬を使って治療を受けられます。原因は神経伝達物質であるドーパミンの働きが良くないため、体から一番遠く離れた下肢からの情報が脳に届きにくい状態となっているからです。したがって、治療は不足した鉄の補充、ドーパミンの働きを良くするお薬、ドーパミン受容体作動薬(ビシフロール、ニュープロパッチ)が使われます。特発性むずむず脚には、抗てんかん薬ガバペンチンのプロドラッグであるレグナイト錠が有効な場合があります。症状が夜間だけの場合は抗てんかん薬リボトリール、ランドセン、ガバペンが使われます。
なお、遅寝、カフェイン、アルコールは症状を悪化させますので要注意です。
ドーパミン受容体作動薬を長期内服する場合、4ヶ月~半年経つと、まれに、内服しているのに症状が悪化する、促進現象や反跳現象が見られることがあります。抗てんかん薬のリボトリール、ランドセンは、強い抗不安作用を持つため、睡眠障害を伴うムズムズ脚に好んで使われます。しかし、促進現象や反跳現象はドーパミン受容体作動薬よりも少し早く生じる傾向にあります。耐薬性、依存性に陥りやすく、少量処方にとどめる必要があります。ドーパミン受容体作動薬、抗てんかん薬、いずれも長期に内服する可能性が高いので、無断勝手に薬を増減しないように、注意する必要があります。
むずむず脚症候群および高率に合併する周期性四肢運動障害の長期予後についての論文発表はいまだ十分なものはありません。むずむず脚症候群は神経伝達ホルモンドーパミンの機能低下と考えられています。同じ病因であるパーキンソン病、パーキンソン関連疾患との関連について経過観察する必要があります。